新しいモニターに買い替えてから、PCの画面が消えたあとにマウスやキーボードを触っても復帰しないことが増えました。画面は真っ暗なままで、マウスやキーボードを触っても復帰せず、あきらめて電源ボタンを押して強制的に再起動する、というのを繰り返していました。
普通はマウスやキーボードを触れば復帰するので、「スリープモードなんだよね?」ぐらいに思っていたのですが、1年ぐらいたって、突然の再起動はPCの健康にも悪かろうということで、ようやく対応策を調べました。
そうしたら犯人は、PC側ではなくモニター側の「ディープスリープモード」でした。オフにしたら、いつも電源ボタンを押して再起動していたのが直りました。
「これってLGのモニターだから起きたの? 有機ELだから? それとも4Kだから?」というところで気になってましたが、条件はどうやら高解像度×高いリフレッシュレートの場合に起きる現象で、「映像を圧縮して送っているかどうか」などによるもののようでした。
あわせて、ディープスリープモードをオフにすることのプロコン(有機ELの寿命や電気代)も調べたので、まとめて記録しておきます。ご参考になれば幸いです!
先にまとめ
- 症状: スリープ後、マウスやキーボードを触っても画面が真っ暗なまま。PC本体は動いている。
- 直し方: モニター側の設定(OSD)で「ディープスリープモード」をオフにするだけ。PC側の設定は触っていない。
- 原因: 4K・240Hzで必須になる映像圧縮「DSC」の、復帰時のすり合わせに失敗している。
- LG特有ではない: 他社でも「エコモード」「ディープスタンバイ」などの名前で同じことが起きる。有機ELか液晶かも関係ない。
- オフにして困ること: 有機ELの焼き付き・寿命への影響はほとんどなし。増えるのは待機電力だけ(年間1000円ぐらい)。
症状が出ていた環境
まずは前提となる環境です。
- GPU: GeForce RTX 3070 Ti 8GB
- GPUドライバー: 610.74
- モニター: LG UltraGear OLED 32GS95UV-W
- 接続: DisplayPort
- 解像度/リフレッシュレート: 3840×2160(4K)/240Hz
モニターを買い替えたときの話はこちらです。

【解決】モニターの「ディープスリープモード」をオフにする
ディープスリープモードは、しばらく映像信号が来ないときにモニターをほぼ完全に眠らせる省電力機能です。これをオフにしてから、画面が消えたあともマウスやキーボードでちゃんと復帰するようになりました。
▼LGモニターは、画面の下部などに、OSDといわれるジョイスティックがついていて、ここで物理的にスイッチを押したりして操作して、ディープスリープモードをオフにできます。

こういう画面の下に、スティックがついてて、押すとメニューが出てきて、設定をみていくとディープスリープモード等のオンオフが設定できます。(他のメーカーのだと、ディープスタンバイ、エコモード / 省電力モード 等だったりするようです。同じようにスリープ画面から復帰しない問題を抱えていたら試してみたらいいかもです。)

なぜディープスリープモードでは復帰しなくなるのか?(DSCという仕組み)
4K解像度で240Hzといった非常に高精細・滑らかな映像データは、そのままではDisplayPortやHDMIケーブルの通信帯域(データを通すパイプの太さ)に収まりきりません。 そこで、グラフィックボード(PC側)で映像データをギュッと圧縮し、モニター側で展開して映し出す技術が使われます。
これが「DSC」(Display Stream Compression)と呼ばれる仕組みです。
DSCがどの瞬間に「わるさ」をするのか?
PCがスリープから復帰して画面を再表示する際、PCとモニターの間で「これからまた圧縮したデータを送るから、よろしくね」という通信のすり合わせ(ハンドシェイク)が行われます。
しかし、NVIDIA製のグラフィックボード(GeForceなど)とDSCを利用するモニターの組み合わせにおいては、この復帰時のハンドシェイクに失敗しやすいという不具合が以前から報告されています。
通信のすり合わせに失敗すると、PC自体は起動していてもモニターに映像信号が正しく伝わらず、「マウスを動かしても画面が真っ暗なまま」という現象を引き起こしてしまいます。
なぜモニターの設定で直ったのか?
「モニター側のディープスリープモードをオフにしたら直った」のは、モニターを「深い眠り」につかせないことで、復帰時の大がかりなハンドシェイク(通信のやり直し)を発生させないようにしたためです。 画面が消えていても通信リンク自体はつながったままになるので、毎回一から通信ルールを確認し直す必要がなくなり、失敗(=復帰しない、画面がまっくらなまま)も起きなくなった、ということのようです。
この3つが揃ったときに起きる
整理すると、今回の現象は次の3つが重なったときに出ます。1つでも欠けると起きません。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| ①DisplayPortの帯域が足りない | RTX 3070 Tiが積むDisplayPort 1.4aは、そのままだと4K・120Hz程度までしか送れない。4K・240Hzを送るにはDSCでの圧縮が必須になる |
| ②モニターが「深く」眠る | ディープスリープがオンだと、画面が消えたときにPCとの通信リンクごと切れて省電力状態に入る |
| ③復帰時のすり合わせに失敗する | NVIDIA製GPUとDSC対応モニターの組み合わせは、このハンドシェイクに失敗しやすいという報告が多い |
ディープスリープをオフにするというのは、このうち②を外す対処ということになります。
LGだから? 有機ELだから? 4Kだから?
直ったあとに気になったのが、この3つでした。順に調べたので書いておきます。
LGモニターだけの話ではない
LGに限った現象ではありませんでした。DELL(Alienware)・ASUS・GIGABYTEなど、他メーカーのハイエンドモニターでも同じ報告が出ています。
ややこしいのは、この省電力機能はメーカーごとに名前が違うところです。「ディープスリープ」で検索しても自分のモニターの設定が出てこない、ということが起きます。
- ディープスリープモード(LG)
- ディープスタンバイ
- エコモード / 省電力モード
呼び方は違っても、やっていることは「映像信号が来ないときにモニターを深く眠らせる」で同じです。OSDの設定を一通り見て、それらしいものを探すのがよさそうです。
有機ELかどうかは関係ない
パネルの種類(有機ELか液晶か)は関係ありませんでした。原因はパネルではなく、映像を送る側の話だからです。
ただ、「4K・240Hz」のような高いスペックのモニターは有機ELパネルを積んでいることが多いので、結果として有機ELで遭遇する人が多くなる、という関係にはなっています。有機ELが悪さをしているわけではない、ということですね。
「4Kだから」ではなく「DSCが要るから」
これは半分正解でした。正確には「DSCでの圧縮が必要になるほどの高解像度・高リフレッシュレートのとき」です。同じ4Kでも、事務用の4K・60Hzのようなモニターでは起きません。帯域に余裕があって、そもそも圧縮していないからです。
| 環境の例 | DSC | この症状 |
|---|---|---|
| 4K・240Hz(ととふの環境) | 必要 | 起きる |
| 4K・144Hz以上 | 必要 | 起きうる |
| WQHD(1440p)・360Hz以上 | 必要 | 起きうる |
| 4K・60Hz(事務用など) | 不要 | 起きない |
| フルHD・144Hz | 不要 | 起きない |
ディープスリープをオフにして、困ることはないのか
省電力機能をわざわざ切るわけなので、有機ELの寿命が縮むんじゃないか、電気代が跳ね上がるんじゃないかというのが気になりました。調べた範囲では、影響があるのは待機電力だけでした。
焼き付き・パネル寿命への影響はない
ディープスリープをオフにしていても、PCからの映像信号が途絶えれば画面(ピクセル)そのものは真っ暗になります。有機ELで画面が真っ黒ということは、ピクセルが完全に消灯して発光を休んでいる状態です。発光していない以上、パネルの消耗も焼き付きも進みません。
LGの有機ELモニターは、使用時間が一定を超えるとスタンバイ時に自動で「ピクセルクリーニング」(焼き付き防止のメンテナンス)を行いますが、これもディープスリープをオフにしたまま働きます。
増えるのは待機電力だけ
ディープスリープモードは、モニター内部の映像処理基板や通信機能の電源まで落として、消費電力を極限まで下げる機能です。これをオフにすると、画面は消えていても「PCからの信号を待ち受ける基板」だけは起きている状態になるので、待機電力がその分だけ増えます。
機種によりますが、ディープスリープありで0.5W以下、なしで2〜5W程度というのが目安のようです。仮に5W増えたとして、1日15時間スタンバイ、1kWhあたり35円で計算するとこうなります。
| 期間 | 電気代の差 |
|---|---|
| 1日 | 約2.6円(5W×15時間=0.075kWh) |
| 1か月(30日) | 約79円 |
| 1年 | 約960円 |
※実測ではなく、上の前提で計算した目安です。待機電力はモニターによって変わります。
年間1,000円弱。復帰しないたびに電源ボタン長押しで強制終了していたことを考えると、こちらのほうがよほど安いと思っています。強制終了はOSやストレージを痛める原因になるので、そこを避けられるならという判断です。
モニターのUSBポートが通電しっぱなしになることがある
基板が起きているぶん、モニター背面のUSBポート(USBハブ機能)がスリープ中も通電し続ける場合があります。マウスやキーボード、LED照明などをモニターのUSBに挿していると、PCが寝ているあいだも光りっぱなしになる可能性があります。
気になるようなら、PC本体側のUSBに挿し替えるのが早そうです。
ついでに見直したモニター周りの設定
この復帰しない問題を調べていたら、派生してWindowsのHDR設定にたどり着きました。そちらをオフにしたら、ドラクエ10の操作の反応やスクリーンショットの色まで良くなったので、別記事にまとめています。

モニターの明るさと目の疲れの話も、同じときに見直しました。





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