ドラクエ10をプレイしているとき、ヘッドホンの電源を切ったらゲームごと落ちた——という現象に、私はずっと悩まされてきました。フレさんと話している途中に落ちたときは、結構気まずかったです・・・
使っているのはワイヤレスヘッドホン ゼンハイザー(Sennheiser) HD 450BT。注文日は2023年4月2日なので、3年4か月使ってのレビューということになります。
音楽・動画・ゲームのリスニング用としては文句なしの1台です。ただ、ゲーム中のマイク使用や、最近増えてきたAIへの音声入力に使おうとしたところ、2つの問題に行き当たりました。この記事では、良かった点と、その2つの問題の技術的な原因、そして対処のしかたまでをまとめます。

1. ゼンハイザー HD 450BTの魅力(良かった点)
購入当初は「音楽や動画をじっくり楽しむこと」を目的に選んだモデルですが、クオリティ面では非常に満足しています。
① ゼンハイザーらしい高音質と、圧巻の立体感・定位感
音の解像度が高く、クリアでバランスの良い音質は「さすがゼンハイザー」と思わせるクオリティです。
手持ちの有線ゲーミングヘッドセット Logicool G PRO X(G-PHS-003) と比べても、音質と音の立体感(定位感)は一段上だと感じます。
『ドラゴンクエスト10』をプレイしている際も、強敵「デルメゼ」などのバトルで相手の足音が鳴る位置や距離感が掴みやすいというメリットがありました。
② 長時間つけると頭が痛くならないか、フィット感はどうか
ヘッドホンでありがちなのが「側圧が強すぎて頭や耳が痛くなる」という問題です。店頭では長時間つけた感覚まで分からないので、自分の頭の大きさやこれまでの経験に照らして考えるしかありません。私は結構気になるタイプだったかもしれません。
HD 450BTも最初は頭が痛くなって、何度か有線の G PRO X に戻したりしていました。それでも段々慣れてきて、無線の手軽さのほうが勝ってきて、最終的には HD 450BT をメインで使うようになっています。
とはいえ、いまでも「何時間でもつけ続けてOK」という感じではありません。夏場は蒸れが気になりますし、2時間おきくらいには外して休みたくなります。
▼実物の写真

③ メンテナンス、価格に対する妥当性と満足感
2025年2月18日にイヤーパッドを交換しています。Amazonで1500円ぐらいで買えて、自分で取り付け可能です。

購入当時の価格(20,878円)を考えると、この音質と装着感、そしてノイズキャンセリング(ANC)を備えている点で、非常にコスパが良く妥当な水準だったと感じています。
2. 実際に使って分かった「2つの問題点」
普段のリスニングでは満点に近い満足度でしたが、作業用・ゲーム用に使い込もうとした際、2つの気になる現象に直面しました。
問題①:電源を切ると『ドラクエ10』が巻き込まれて強制終了する
HD 450BTの電源をオフにすると、プレイ中だったドラクエ10が一緒にクラッシュして落ちてしまう現象が頻発しました。私の環境ではかなり再現性が高く、他の一般的なアプリでは起きず、ドラクエ10のときだけ発生します。
問題②:マイクをオンにすると周囲の音が「ぼわーっ」と入り、音質が変わる
AIへの音声入力などでマイクを有効にすると、急に音質が下がります。それと同時に、周囲の環境音が「ぼわーっ」とスピーカーから流れてくる感じになります。
意図しない挙動だったので、なぜ??と思いました。周りの環境音を不必要に拾ってしまわないかも心配になります。
3. なぜ起きる? 調べて分かった技術的な原因
「PCやヘッドホンの故障・負荷過多では?」と心配になりましたが、調べてみるとBluetoothの規格とゲーム側の仕様によるものである可能性が高いです。
原因①:サウンドデバイスの突然の「消滅」によるゲームのエラー
HD 450BTの電源を切ると、Windows上では使用中の音声デバイスが切断された状態になります。ドラクエ10側がこのデバイス変更を正常に処理できず、異常終了している可能性が高いです。
原因②:Bluetoothの帯域制限と「側音(サイドトーン)」
- 音質変化の原因: HD 450BTが採用する従来型のBluetooth Classic Audioでは、高音質ステレオ再生のA2DPがマイク入力に対応していません。そのため、内蔵マイクを使うと、Windowsは双方向通信用のHFP(ハンズフリー)へ切り替えます。HFPでは再生音がモノラル・低帯域になるため、ゲーム音や音楽の音質が大きく低下します。
- 「ぼわーっ」とした音の原因: 密閉型ヘッドホンで自分の声が聞こえなくなるのを防ぐため、マイクで拾った音をあえて耳に届ける「側音(サイドトーン)」という仕様が働くためです。さらにHD 450BTは、通話や音声コマンドが始まるとノイズキャンセリングを自動でオフにします。それまで消えていた周囲の音が急に戻ってくるので、「ぼわーっ」がよけいに目立ちます。
やっかいなことに、この側音は公式サイトにも付属の説明書にも書かれていない動作です。故障を疑ってしまうのも無理はない、という話でした。
4. 買い替える前に試せること
ヘッドホンを買い替える前に、まず試せる設定があります。
- スマホの Sennheiser Smart Control アプリでHD 450BTに接続し、サイドトーン(側音)の設定を0%にする
- Windowsのデバイスマネージャーで、HD 450BTの「ハンズフリー」側のデバイスを無効にする(「オーディオの入力および出力」と「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」の両方にあります)
2番目をやると、WindowsはHFPへ切り替えられなくなるので、音質は高音質のまま固定されます。ただし、その代わりにヘッドホンのマイクは使えなくなります。「音は良いまま、マイクは別で用意する」という割り切りですね。
5. マイクも使いたいなら:USBドングル付き「専用無線ヘッドセット」
音質もマイクも両方ほしい場合は、通常のBluetooth接続ではなく、専用のUSBドングル(レシーバー)を使うワイヤレスヘッドセットへ移行するのが最も有効です。
接続方式のメリット・デメリット比較
| 項目 | Bluetooth接続(HD 450BTなど) | USBドングル付き無線接続 (2.4GHz等) |
| 手軽さ・汎用性 | ◎ 高い (PC・スマホ・タブレット等でドングル不要) | △ やや限定的 (USBポートを消費。差し替えが必要) |
| マイク使用時の音質 | × 低下する (通話モードに強制変更) | ◎ 高音質を維持 (マイク入力時も高精細ステレオ) |
| マイク使用時の環境音 | △ 側音が入りやすい (制御が難しい) | ◎ オフに設定可能 (専用ソフトで側音を無効化できる) |
| 切断時のゲーム落ち | × 起きやすい (デバイス自体が消えるため) | ◎ 起きない (電源を切ってもドングルは認識されたまま) |
USBドングル付きのモデルであれば、ヘッドセットの電源を切ってもPC側からは「ドングルというデバイスが存在し続けている」状態になります。そのため、ドラクエ10が巻き込まれて落ちるのを防ぐことができます。
Bluetooth 5.2だと大丈夫?(LE Audio)
今回の「マイクを使うとA2DP→HFPに落ちる」という問題は、Bluetooth 5.2以降で導入された LE Audio(新コーデック LC3)で構造的に解決されているようです。
従来は「音楽を高音質で流す道(A2DP)」と「通話する道(HFP)」が別々で、切り替えるしかありませんでしたが、LE Audio は複数のストリームを同時に流せるので、マイクを使いながらステレオ高音質を維持できるようになったそうです。
Windows側も対応済みで、Windows 11 24H2以降は「マイク使用中もステレオ」が公式にサポートされています(Bluetooth5.2から!)。
今回の問題はBluetooth5.2(LE Audio)で解決するか?
■マイクONで音質がガクッと落ちる ⇒ 解決する。(これがLE Audioの主目的)
■「ぼわーっ」と環境音が入る ⇒ 解決する。
HFPに落ちないのでノイズキャンセリング(ANC)を切る必要がなくなる。
■電源を切るとドラクエ10が落ちる ⇒ 解決しない
3つ目がととふにとって肝心なところです。これはBluetoothの規格の問題ではなく、「Windowsからオーディオデバイスが突然消える」ことにゲーム側が対応できていない問題なので、LE Audioだろうが何だろうが、ヘッドホンの電源を切ればデバイスは消えてしまうのですね。
だからUSBドングル付きが効くわけです。ドングルはUSBに挿さったままなので、ヘッドセットの電源を切ってもPCから見たデバイスは消えない・・・
6. まとめ
ゼンハイザー HD 450BTは、純粋な音楽鑑賞や動画視聴、ゲームのリスニング環境としては文句なしの名機です。デルメゼ戦のような音の距離感が重要な場面でも素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれます。
しかし、「AIへの音声入力」や「ゲーム中のマイク使用」を頻繁に行う場合、Bluetooth接続特有の仕様(音質低下・側音・デバイス切断問題)が壁になることが分かりました。
- 音楽や普段の動画鑑賞メイン ➔ Bluetoothヘッドホン(HD 450BTで大満足)
- AI音声入力やゲーム通話メイン ➔ USBドングル付きのPC専用ワイヤレスヘッドセット
Bluetooth万能だと思っていたら、AmazonPrimeデーも終わってしまったし、最近OpenRunを買ったし、次のセールまでまだこのゼンハイザーを使う予定です。
このように用途に合わせてデバイスの接続方式を選ぶことが、快適なPC作業環境を作る鍵になりそうです。
参考記事
側音(サイドトーン)と通話時のノイズキャンセリングの挙動、および各種スペックは、以下の記事・公式ページを参照しました。
- Sennheiser HD 450BT Wireless Noise-canceling Headphones Review(ecoustics) — 側音が公式に記載のない動作であること、通話・音声コマンド時にノイズキャンセリングが自動でオフになることの出典
- Turn off Hearing Yourself on Sennheiser Headphones (sidetone)(Infinityflame) — 兄弟機 HD 350BT での、側音を0%にする手順とWindows側のハンズフリー無効化
- Sennheiser HD 450BT review(SoundGuys) — 対応コーデック、ノイズキャンセリング、バッテリー等の詳細
- HD 450BT 製品ページ(Sonova Consumer Hearing) — メーカー公式のスペック
- ロジクール PRO X Gaming Headset G-PHS-003 スペック・仕様(価格.com)




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