最近、ゲーミングPCのネットワーク設定を見直してみました。
すると……ドラクエ10がめちゃくちゃ快適になりました!
もちろん、これは私のPC・回線環境での体感です。すべての環境で同じ効果が出るとは限りません。
ただ、調べてみるとWindowsにはネットワーク通信についてかなり細かい設定があり、設定によっては「最大通信速度」ではなく、通信の遅延や瞬間的な引っかかりに影響する可能性があることが分かりました。
そこで今回は、私が参考にしたサイトに加えて、
- ドラゴンクエストX公式
- Microsoft
- Intel
- Cloudflare
などの情報まで確認し、2026年時点でドラクエ10用ゲーミングPCなら、どこを見直す価値があるのかをまとめます。
「ネットが速い」と「ドラクエ10が快適」は少し違う
最初に大事なのがここです。
Windows版『ドラゴンクエストX オンライン』の現在の必要環境では、通信環境について「ブロードバンド以上(常時接続必須)」とされています。100Mbps、1Gbpsといった具体的な通信速度は指定されていません。
つまり少なくとも公式要件を見る限り、「1Gbpsを10Gbpsにすれば、それだけでドラクエ10の反応が10倍速くなる」というゲームではありません。
オンラインゲームで気になる「コマンドを入れたのに反応が遅い」「一瞬止まる」「戦闘中にラグっぽくなる」といった現象では、単純なダウンロード速度だけでなく、通信の安定性や遅延が重要になります。
実際、スクウェア・エニックス公式も、通信切断や不安定な場合の対策として、通信速度を上げることだけではなく、有線LANへの変更、LANケーブルの確認、ルーターやモデムの再起動、ファームウェア更新、常駐アプリの停止などを案内しています。
なので今回目指すのも、「Speedtestの数字を大きくする」より「ゲーム中の通信を安定させ、余計な遅延要因を減らす」ことです。
設定を変える前に、まず測る(回線の書)
ここが今回いちばん伝えたいところです。
設定をいじる前に、今の自分の回線がドラクエ10に対してどうなのかを測っておかないと、変更した後に良くなったのか悪くなったのか分かりません。
そのために「回線の書」というツールを作ってあります。

Fast.comやGate02はNetflixやUSENのサーバーとの速度を測っていますが、回線の書は今まさに自分が接続しているドラクエ10のワールドサーバーを直接測ります。Windows標準のコマンド(netstat・ping・tracert)だけを使うので、ソフトのインストールも不要です。
見るのはこの3つです。
| 指標 | ドラクエ10での体感 | 理想値 |
|---|---|---|
| Ping(レイテンシ) | ボタンを押してから反映されるまでの速さ | 30ms以下 |
| ジッター | Pingの揺らぎ。大きいと敵がワープして見える | 5ms以下 |
| パケットロス | 情報が途中で消えること。技の不発や回線落ちの原因 | 0%が理想 |
結果はS〜Cのランクで出ます。この記事の設定をどこまでやるかは、このランクによって変えるのがおすすめです。
| ランク | この記事でやるべきこと |
|---|---|
| S(勇者級) | 何もしなくてよいです。今の環境を壊さないのが最善 |
| A(戦士級) | 3(Windows Update)まで確認。余裕があれば4・5を試す |
| B(旅芸人級) | 1〜3を必ず確認。ここで直る可能性が高いです |
| C(やばい) | 1〜3が最優先。4以降のPC内設定より先に、有線化とルーターを疑ってください |
CやBの人がいきなりEEEやInterrupt Moderationをいじるのは遠回りです。 回線の書のtracert結果でホップ1(自宅ルーター)が遅いと出ているなら、原因はPCの詳細設定ではなく、その手前にあります。
まずやっておきたい設定は7つ
私なら、現在のWindows 11環境では次の順番で確認します。
- 可能ならWi-Fiではなく有線LANにする
- LANケーブル、ルーター、ONUなどを確認する
- Windows Updateなど、裏で帯域を使う処理を確認する
- Energy Efficient Ethernet(EEE)を必要に応じて無効化する
- Interrupt Moderationは低遅延重視ならテストする価値あり
- DNS変更は試してもよいが、ゲーム高速化とは分けて考える
- RWIN・TAF・RSS・オフロード全無効化などの古い一括チューニングは安易に行わない
以下、詳しく説明します。
1. 有線LANにする(ドラクエ10公式も推奨)
ここはかなり確実です。
スクウェア・エニックスのサポートでは、無線LAN利用時に通信が遅延・切断する場合について、ルーターとの距離や障害物、電子レンジなどからの電波干渉を確認し、有線接続が可能なら有線接続を試すよう案内しています。
ゲーミングPCをデスクトップで使っているなら、Wi-Fiで問題がなくても、LANケーブルを引ける環境ではまず有線化を優先してよいでしょう。
特にハイエンドバトルなど、ほんの一瞬の遅れが気になるプレイでは、最高速度より通信の安定性を優先したいところです。
回線の書では、この判定を自動でやっています。 tracertの1ホップ目(自宅ルーター)の応答時間を見て、有線なら通常1ms以下、Wi-Fiだと2〜10ms程度かかるという差からWi-Fi接続を推定します。自分では有線のつもりでも、ここが数msあるなら疑ってみてください。
2. LANケーブル・ルーターも意外と重要
これもDQX公式が明記しています。
有線LANを使っている場合、スクウェア・エニックスはLANケーブルの端子やコードに不良がないか確認し、可能なら別のケーブルで試すよう案内しています。
さらに、ルーター・モデムの再起動、ルーターのファームウェア更新も公式のトラブルシューティングに含まれています。
PC側のレジストリを変更するような高度なチューニングに手を出す前に、こちらを確認した方が安全です。
「高性能なゲーミングPCなのに妙にネットワークだけ不安定」という場合、PCではなくルーターやケーブル側が原因という可能性もあります。
回線の書のtracert結果では、ホップ2〜4(プロバイダの入口)が遅い場合はプロバイダの混雑が疑われます。特に夜21〜23時だけ悪化するなら、v6プラス(IPoE)対応のプロバイダへの変更が効きます。逆に終盤のホップが遅い場合はゲーム会社側やバックボーンの問題なので、こちらでは対処しにくい部分です。
どこが原因かによって、打つ手はまったく変わります。 ここを測らずにPC内の設定だけいじっても、当たらないことがあります。
3. Windows Updateの通信をゲーム中に暴れさせない
これはドラクエ10では特にチェックしておきたい項目です。
スクウェア・エニックスはWindows版DQXで通信切断が頻繁に発生する場合、Windows Updateの「配信の最適化」に関する設定変更によって改善する可能性があると案内しています。
現在のWindows 11では、設定 → Windows Update → 詳細オプション → 配信の最適化 から通信量を管理できます。
Microsoft自身も、配信の最適化についてバックグラウンド/フォアグラウンドのダウンロード帯域幅を制限できると案内しています。
ゲーム中にWindows UpdateやMicrosoft Storeなどが裏で大きな通信をしてしまえば、回線状況によってはゲーム通信にも影響が出る可能性があります。
特に家族で同じ回線を使っていたり、回線自体が混雑しやすかったりする場合は、一度確認してみる価値があります。
裏で大きな通信が走っているときの影響は、Pingの平均値よりジッターとパケットロスに出ます。ダウンロード中とそうでないときで回線の書を2回測ると、違いが見えることがあります。
4. Energy Efficient Ethernet(EEE)を無効化してみる
ここからがゲーミングPCらしい設定です。
有線LANアダプターには、Energy Efficient Ethernet(EEE)という省電力機能が搭載されている場合があります。
Intelの公式資料によると、EEEでは通信していないタイミングにネットワーク機器を低消費電力状態へ移行し、通信が必要になれば通常状態へ戻します。そしてIntel自身が、この状態遷移についてわずかなネットワーク遅延が発生する可能性があると説明しています。
省電力より低遅延を重視するゲーミングPCなら、これは試してみる価値があります。
Windows 11なら一般的には、デバイス マネージャー → ネットワーク アダプター → 使用しているEthernetアダプター → プロパティ → 詳細設定 と進み、「Energy Efficient Ethernet」「EEE」「省電力イーサネット」などの項目があれば「Disabled(無効)」にします。
ただしNICによって項目名や機能は異なります。存在しなければ無理に探す必要はありません。
ここからは必ず、変更前と変更後で回線の書を実行して比べてください。 EEEは「通信していない状態から復帰するときの遅延」に効く設定なので、変化が出るとすればPingの平均よりもジッターの側です。
5. Interrupt Moderationも低遅延狙いなら試す価値あり
もうひとつ興味深いのが、Interrupt Moderation(割り込み調整)です。
ネットワークカードから大量の割り込みが発生するとCPU負荷が増えるため、それをまとめて処理することでCPU負荷を抑える機能です。つまり基本的には良い機能なのですが、まとめて処理する分だけ、低遅延用途ではトレードオフが発生します。
IntelのWindows向けEthernetチューニング資料でも、Interrupt Moderationは通常、性能とリソース利用の面から有利なのでデフォルトで有効になっている一方、低遅延環境では無効化が有利になるケースがあると説明されています。
ただし、無効化するとCPUが処理する割り込み数が増え、CPU使用率が高くなる可能性があります。
そのためこれは、「絶対OFFにするべき設定」ではなく、「ゲーミングPCでCPU性能に余裕があり、低遅延を最優先するならON/OFFを比較する価値がある設定」と考えるのが正確でしょう。
私なら必ず元の設定を記録してから変更し、DQXを実際にプレイして比較します。ここも回線の書でON/OFFの数値を残しておくと、体感だけに頼らずに判断できます。
6. Cloudflareの「1.1.1.1」にDNSを変更するのは?
「ちもろぐ」では、DNSをCloudflareの1.1.1.1 / 1.0.0.1へ変更する方法が紹介されています。記事内のSpeedtestでは大きな速度差は出なかったとも記載されています。
Cloudflare公式でも、1.1.1.1は高速・プライバシー重視のDNSリゾルバーとして提供されています。
なので試してみること自体はよいと思います。ただし、ここは誤解しやすいところです。
DNSは主に「○○というサーバー名は、どのIPアドレスか」を調べる仕組みです。Cloudflare自身も「DNS only」の場合はDNS問い合わせだけが1.1.1.1へ送られ、端末の通常の通信そのものをCloudflare経由にするわけではないと説明しています。
そのため、DNSを変えた=DQXサーバーまでのゲーム通信経路が高速化するとは限りません。
Webサイトを開くまでの名前解決などが速くなる可能性はありますが、すでに接続しているDQXのゲーム通信そのものを高速化する設定とは分けて考えた方がよいでしょう。
ここは回線の書で確かめられます。 DNSを変更する前と後で測定してみてください。回線の書が測っているのは、すでに接続が確立したDQXサーバーとのPing・ジッター・パケットロスなので、DNSを変えてもこの数値はほぼ動かないはずです。
–>
7. 昔の「ネトゲ高速化設定」はそのまま真似しない方がいい
今回参考にした「おっさんゲーマーどっとねっと」の記事では、RSS、TCP Chimney Offload、NetDMA、Task Offload、受信ウィンドウ自動調整、QoS、TcpAckFrequencyなど、かなり踏み込んだWindowsネットワークチューニングが紹介されています。記事は2019年公開、2021年更新です。
当時のWindows環境を考える上では非常に興味深い記事です。ただし、2026年のWindows 11に、そのまますべて適用することはおすすめしません。
Microsoftの現在のネットワークパフォーマンス資料では、Checksum Offload、LSO、RSSなどのネットワークオフロード機能は通常は有効にすることが有益とされています。最適設定はNIC、ハードウェア、処理内容、求める性能によって変わるというのがMicrosoftの立場です。特にRSSは、受信処理を複数CPUへ分散するための現在も利用されている機能です。
またMicrosoftは、TCP Receive Window Auto-Tuningについて、帯域幅やネットワーク遅延などを見ながら受信ウィンドウを調整し、ネットワーク転送を最適化するための機能と説明しています。
実際、「おっさんゲーマーどっとねっと」の記事自身にも、受信ウィンドウ自動調整を無効化した結果、ある環境ではSpeedtestが約400〜500Mbpsから約42Mbpsまで低下したという読者報告が追記されています。
だから、「オフロード系は全部OFF!」のような一括設定は、現在ではやらない方がよいと思います。問題がある機能だけを一つずつ変更し、比較して戻せるようにするのが安全です。
MTU・RWIN・TAF変更ツール「kukutune」は今回はおすすめしません
もうひとつ参考として挙げた「MagicalKukusama」には、kukutuneというMTU・TAF・RWIN変更ツールがあります。
ただし元ページは2010年公開、掲載されているツールは2014年版です。
さらにページ自身が「サポートしない」「自己責任」と明記しており、管理者権限で実行してWindowsの自動調整機能も無効化する仕様になっています。またページ自身もWindows Vista以降ではRWIN変更に意味がないと説明しています。
2026年現在、ドラクエ10を快適にするために、ここまで古いWindowsネットワークチューニングツールをあえて導入する積極的な理由は見つけられませんでした。今回の記事では使用非推奨とします。
まず公式対策、その後にNIC設定を試すのがおすすめ
まとめると、ドラクエ10の場合は、いきなりレジストリを書き換えるような「裏技」に手を出す必要はないと思います。
順番としてはこうです。
- 回線の書で現状を測る(今どこが悪いのかを知る)
- 有線LAN → LANケーブル → ルーター → ファームウェア → バックグラウンド通信(DQX公式も推奨している部分)
- それでも「回線速度は十分なのに、なんとなくゲーム中の反応が遅い」なら、Energy Efficient Ethernetを無効化
- さらにCPU性能に余裕があれば、Interrupt ModerationのON/OFFを比較
- もう一度、回線の書で測って比べる
Microsoft自身も、NICの最適な設定はネットワークアダプター、ハードウェア、ワークロード、目的によって異なるとしており、変更前に現在のネットワーク性能を確認することを推奨しています。回線の書は、まさにその「変更前の確認」をドラクエ10のサーバー相手にやるためのツールです。

私の環境では、かなり変わりました
今回ネットワーク周りを見直してみて、一番驚いたのは、「ゲーミングPCの性能だけでは決まらないんだな」ということでした。
CPUやGPUを交換するとなれば何万円もかかりますが、ネットワーク設定なら基本的には無料です。しかも私の環境では、設定後のドラクエ10が明らかに快適に感じられました。
ただし、ネットワークチューニングには、「CPU負荷を減らしたい設定」「最大スループットを伸ばしたい設定」「多少CPUを使ってでも遅延を減らしたい設定」が混在しています。全部OFFにすれば速くなる、というものではありません。
変更前の設定を必ず記録して、一項目ずつ比較する。これが一番重要だと思います。
回線速度は十分なのにドラクエ10がなんとなくモッサリする。戦闘中に一瞬引っかかる。そんな人は、一度自分のゲーミングPCのネットワーク設定を確認してみると、意外な改善があるかもしれません。
主な参考・出典
スクウェア・エニックス – 「Windows無料体験版 必要環境」 – 「インターネットにつながるが切断されてしまう、ゲーム内の一部機能が使用できない」 – 「【Windows】通信切断が頻繁に発生する」
DQX公式は、有線LAN、LANケーブル、通信機器の再起動・ファームウェア更新、常駐アプリ、Windows Update配信などについて案内しています。
Microsoft Learn / Microsoft Support – 「Network adapter performance tuning」 – 「Receive Window Auto-Tuning」 – 「Windowsでの配信の最適化」
オフロード、RSS、TCP自動調整、Windows Updateのバックグラウンド通信などを確認するために参照しました。
Intel – 「Ethernet Adapters and Devices User Guide」 – 「Interrupt Moderation」
Energy Efficient Ethernetによる低電力状態への移行と遅延、Interrupt Moderationの低遅延用途でのトレードオフを確認しました。
Cloudflare – 「1.1.1.1 documentation」
DNS変更の意味と、DNS-onlyでは通常通信をCloudflareへトンネルしないことを確認しました。
参考にした個人サイト – ちもろぐ:ゲーミングPCを買ったら最初にするべき初期設定まとめ — DNS設定などを参照。ただし同記事でもSpeedtest上の改善はほぼなしとされています – おっさんゲーマーどっとねっと:ネトゲのラグを悪魔的に減らすネットワーク設定のお話 — Windowsネットワークチューニングを考えるきっかけとして参照。ただし2019〜2021年の記事のため、現在のMicrosoft資料と照合し、RSS・オフロード・Auto-Tuningの一括無効化などは本記事では推奨していません – MagicalKukusama:kukutune — MTU/TAF/RWINチューニングの歴史的参考として確認。ただし古いツールであり、現在の記事では使用を推奨していません
※2026年8月時点で公開されている情報を確認して執筆しています。ネットワークアダプターの詳細設定はメーカー・ドライバーによって項目名や挙動が異なります。変更する場合は、必ず元の設定を記録してから一項目ずつ検証してください。




コメント